フィラー
フィルター

脂肪酸やシランカップリング剤で十分ですか?

フィラーを使って樹脂の物性を強化するには次の3つの力が重要。

  
  1. フィラーにより低下した流動性を回復する流動化力
  2. フィラーを樹脂全体に⾏き渡らせる分散⼒
  3. フィラーの引抜き強度を向上する結合力

一般的には、滑剤・分散剤として「⾦属⽯鹸」や「脂肪酸」を使い、結合力のため「シランカップリング剤」を使いますが、「期待した物性が得られない」というご相談も多く頂きます。

こういったご相談にお答えするためフィラー添加時用の流動・分散・強化剤を開発しました。

製品イメージは下図の通りで、性能とコストのバランスをとりながら、使いやすく効果の高い添加・処理剤です。


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流動・分散・強化剤「SCI-LOP」のメリット

SCI-LOPをご採用いただくと、MBの製造メーカー様だけでなく、成形メーカー様・製品メーカー様にも大きなメリットがあります。以下のような課題を念頭に開発しており、性能・コスト・耐久性で大きな効果が期待できます。


サンエースの考えるフィラー分散とは?

流動性の低下が最大の問題

フィラーを添加すると樹脂の流動性が大幅に低下します。特に繊維状フィラーではこの傾向は顕著。流動性が低下するので吐出量も低下します。加⼯機で調整する場合、押出回転数を上げ吐出を増やす事になります。

押出トルク上昇による弊害

押出回転数を上げることでフィラーには大きな剪断力がかかり、フィラー自体が細かく分断される事もあります。破断したフィラーでは、どんな分散剤や結合力の強いカップリング剤を使っても物性向上には限界があります。

さらに、この大きな剪断力により樹脂は発熱し本来の物性も失いかねません。流動性が適正化されていない樹脂は、加工条件が厳しく現場での調整幅の小さい扱いにくい樹脂になってしまいます。

流動性の向上により「混錬の質」を上げるSCI-LOP

フィラーで物性を強化するには、流動性を回復しフィラーを壊さず⼩さな⼒で混ぜて分散する事が最大のポイント。効率の良い「混錬の質」を回復する事が重要だと考えています。SCI-LOPが機能するメカニズムは次の通り。

  1. 低下した流動性を回復し、小さな力で混錬できる状態に改質。

  2. 「フィラーと樹脂」「金属面と樹脂」など界面で作用し、極性違いによるフィラーの偏りや金属面への固着を抑制し分散を高める。

  3. 必要に応じて、樹脂との結合力を付与することで、フィラーの引き抜き強度も向上。

このメカニズムにより、原料投入から吐出までの限られた時間の中でフィラーを損傷せず樹脂全体に効率良く分散し、狙い通りのフィラー強化樹脂を実現します。

SCI-LOPで得られる副次的なメリット

樹脂の流動性を回復する事で本来の吐出量を取り戻し、成形の現場で扱いやすい加⼯条件幅の広いフィラー強化樹脂になります。

さらに、金型残留物に起因する⽩⿊ブツの削減や段替え時のパージ時間短縮にも寄与します。パージ剤原料としてご採用頂くケースも増えています。

4種類あるSCI-LOPグレードの違い

「SCI-LOP-F1・EP2・DF1・DP2」と4種類のグレードがあり、それぞれ使⽤⽅法や付与できる効果が異なります。

   流動・分散剤 流動分散・強化剤
品名 SCI-LOP-F1 SCI-LOP-EP2 SCI-LOP-DF1 SCI-LOP-DP2
対象樹脂 オレフィン樹脂 エンプラ(一部除く) オレフィン樹脂 オレフィン樹脂
使用方法 添加・乾式表面処理 添加・乾式表面処理 湿式表面処理 乾式表面処理
特徴 オレフィン加工温度域で高い流動性とフィラー分散力を発揮する PET・PBT・PAなどエンプラ加工温度域で流動性と分散力を発揮する SCI-LOP-F1の湿式処理対応タイプ 流動性と分散性を付与し、樹脂との結合力も付与する

SCI-LOP-F1

SCI-LOP-F1はオレフィン樹脂を対象とし、添加・乾式表⾯処理で使⽤できる流動・分散剤。添加でも使えますが、乾式処理でフィラー表面に処理した方が流動・分散向上の性能が高くなります。

フィラーと樹脂の界⾯で作用するため、添加ではフィラー界⾯に到達する確率が下がり時間もかかります。フィラーに表⾯処理すると、原料投入直後から界⾯で機能し効率的です。

SCI-LOP-EP2

SCI-LOP-EP2は、PETやPBT、PAといったエンプラの加工温度域で機能する流動・分散剤です。使用方法やメカニズムは、オレフィン用のSCI-LOP-F1と同じです。

高温下での使用が前提で、極力変色を抑えるように調整した配合。着色用途でも使用可能です。

SCI-LOP-DF1

SCI-LOP-DF1は、フィラー製造メーカー様向けで、湿式⼯程で使用します。既存の湿式⼯程で表⾯処理できるので、作業効率が高い処理材です。

SCI-LOP-DP2

SCI-LOP-DP2は、他の3種と異なり、流動・分散性に加えて樹脂との結合力を付与し、引抜き強度を向上します。

使⽤⽅法は乾式表⾯処理のみ。引抜き強度を向上するので、シランカップリング剤、相溶化剤からの代替としてご検討いただけます。

SCI-LOP使用時の流動性・混錬トルク・樹脂温の変化

ここからはSCI-LOPシリーズの効果を、資料を交えて説明します。まずは、要となるポイント「小さな力での混錬」から紹介します。

フィラー添加時の流動性回復

まずは、この流動・分散剤のアプローチで最も重要な「流動性の回復」です。PPに処理量・処理剤の異なるワラストナイトを30%(処理剤込み)添加し、MVRの変化を確認しました。

流動性改質効果

②未処理では、MVRは6.0㎤/10minとPP単体に比較して約25%も低下しています。

③シラン処理品では、MVRはさらに低下し5.0㎤/10minPP単体に比べて約35%も低下しています。

④DP2 1.5%処理品では、MVRは7.9㎤/10minとPP単体と同程度まで回復しています。

⑤⑥さらにDP2の処理量を2倍、3倍と増やすに従いMVRも上昇しています。

フィラー添加時の流動性回復にとどまらず、樹脂単体の流動性を超える改質効果が見られました。

SCI-LOP-F1添加時のトルクと樹脂温の変化

SCI-LOP-F1添加時に混錬トルク・樹脂温がどのように変化するか、次の5種類の配合で確認しました。

  1. 樹脂のみ
  2. ブランク(樹脂とタルクのみ、等量)
  3. SCI-LOP-F1 0.5%添加
  4. SCI-LOP-F1 1.0%添加
  5. SCI-LOP-F1 2.0%添加

※F1添加量をタルクに含めて等量となるように配合。

  SCI-LOP-F1添加時のトルクと樹脂温の変化1SCI-LOP-F1添加時のトルクと樹脂温の変化2

SCI-LOP-DP2処理時のトルクと樹脂温の変化

先ほどのLOP-F1と同様にLOP-DP2でもトルクと樹脂温の変化を確認しています。DP2の特徴として、混錬後半に向かってトルクが大きく下がっていきます。比較した配合は次の通り。

  
  1. 樹脂のみ
  2. ブランク(樹脂とタルクのみ、等量)
  3. SCI-LOP-DP2 1%処理
  4. SCI-LOP-DP2 2%処理
  5. SCI-LOP-DP2 4%処理

※処理剤はタルク量に含めて等量で配合。コンパウンドでの配合量はそれぞれ半分となります。

SCI-LOP-DP2処理時のトルクと樹脂温の変化2    SCI-LOP-DP2処理時のトルクと樹脂温の変化1

流動性・トルク評価のまとめ

SCI-LOPを使う事で、フィラーの流動性や⾦属⾯での滑性が向上し、必要とされる混錬トルクが低減したことが確認できます。また、混錬時の樹脂温も低下しており、加⼯時の条件幅が広がります。

流動性が高まり樹脂温も下がるため、更なるフィラー増配による強度向上や樹脂量削減によるコスト調整も可能になります。

強化フィラーの分散性向上

樹脂に未処理・シラン処理・DP2処理を行ったワラストナイトを添加し、射出成形した試験編で分散状態を確認しました。

写真は成形した試験片の下から光をあて、凝集体の影を撮影したものです。

※写真中にあるスケール目盛りは1,000μmです。

未処理品の分散状態

未処理品の分散状態1

試験片全体に黒い凝集体の影が確認できます。流動性が低いため混錬トルクが強なり、ワラストナイトは損壊、細切れの状態で凝集していると推測されます。

シラン処理品での分散状態

シラン処理品での分散状態1

未処理に比べると濃い凝集体が少なくなっていますが、混錬時の流動性は低く混錬トルクは未処理よりも高くなっています。ワラストナイトがさらに細かく分断された結果、影が見えなくなっていると考えます。

SCI-LOP-DP2処理品での分散状態

SCI-LOP-DP2処理品での分散状態1

写真では数箇所の影が確認できますが、分散状態は良好です。混錬時の流動性が高く、ワラストナイトが樹脂の中で十分に分散している事が分かります。繊維が集まった糸状の凝集も見られません。

高い流動性により低トルクで樹脂全体に分散させる事ができるので、本来のワラストナイトの繊維長が活用でき、物性強化が期待できます。

樹脂との結合状態の確認

強化フィラーによる物性改善では、樹脂とフィラーの結合状態も重要なポイントです。分散したフィラーがどのような形で樹脂内に存在するかを確認しました。

この3枚の写真は、分散後の樹脂⽚を10,000倍に拡⼤したものです。

ワラストナイトの分散処理

SCI-LOP-DP2処理

   ワラストナイトの分散処理

シラン処理

ワラストナイトの分散処理

未処理

棒状に突き出しているものがワラストナイトで、根本をみると樹脂との密着・結合状態が確認できます。

DP2処理されたワラストナイトは、他の2種の結果に比べて樹脂との密着性が極めて高くなっています。この密着性が強い引き抜き強度につながります。

強化フィラーによる物性強化の確認

続いてはフィラー添加の主目的である物性に関する評価です。PPに表面処理剤が異なる処理済みワラストナイトを30%添加して、物性の変化を確認しました。

※表面処理剤が加わるため、フィラー量は未処理品が最も多くなります。

品名 シャルピー衝撃値
[KJ/㎡]
曲げ試験 引張試験
最大応力 [MPa] 弾性率 [MPa] 最大応力 [MPa] 弾性率 [MPa]
平均値 平均値 平均値
ブランク PPのみ 5.9 42.4 1,322 27.5 1,611
未処理ワラストナイト 30% 2.8 50.6 3,590 30.3 4,014
シラン処理ワラストナイト 30% 2.5 57.9 3,785 35.2 4,117
DP2処理ワラストナイト 30% 3.4 52.9 4,160 32.3 4,393
  • 未処理のワラストナイトを30%添加した場合、シャルピー衝撃値は50%以下に低下、曲げ弾性率で2.7倍、引張弾性率で2.5倍まで向上します。
  • 続いてシラン処理剤ですが、衝撃値はさらに低下し42%、曲げ弾性率は2.9倍弱、引張弾性率も若干向上し2.6倍弱。

  • これに対しDP2処理をしたワラストナイトではシラン処理以上の物性改善が確認できました。

  • シャルピー衝撃値の低下は約58%までにとどまり、曲げ弾性率は3.1倍、引張弾性率は2.7倍まで向上しています。

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    物性強化確認のまとめ

    流動性向上により低トルクの混錬でも、フィラーを樹脂全体に分散し物性を強化する事ができます。特にSCI-LOP-DP2は、フィラーと樹脂の密着結合力も付与するため、物性強化では⾮常に⼤きな役割を果たします。

    SCI-LOPは粉体のため、液状で手間のかかる処理剤から変更する事で、原料コストだけでなく工数削減につながります。

    さらに、流動性を回復することで吐出も向上し、更なるフィラー増配も可能となります。樹脂の使用割合を減らしコスト削減や環境負荷の低減まで大きな可能性が広がります。

    目ヤニや白黒ブツによる生産トラブルの削減

    最後は生産効率の低下につながる目ヤニやプレートアウトによる白黒ブツに関する検証結果です。多くのフィラーは樹脂との相溶性が低く、吐出口や金型・成形機内に付着し生産トラブルの原因となります。

    タルク高添加時の目ヤニの改善

    PPにタルクを60%添加してストランドを引いた写真です。SCI-LOP-F1・EP2は添加、SCI-LOP-DP2は乾式表面処理で比較しています。目ヤニが大幅に改善される事が確認できます。

    未処理・未添加

    未処理・未添加

    SCI-LOP-F1添加

    SCI-LOP-F1添加

    SCI-LOP-EP2添加

    SCI-LOP-EP2添加

    SCI-LOP-DP2表面処理

    SCI-LOP-DP2表面処理

    ワラストナイト添加時の目ヤニの改善

    PPにワラストナイトを30%添加しストランドを引いた写真です。シランカップリング剤とSCI-LOP-DP2は表面処理、SCI-LOP-EP2は添加です。未処理・未添加、シラン処理品に比べて、LOPを使用したもので大幅な改善が見られます。

    未処理・未添加

    未処理・未添加

    シラン表面処理

    シラン表面処理

    SCI-LOP-EP2添加

    SCI-LOP-EP2添加

    SCI-LOP-DP2表面処理

    SCI-LOP-DP2表面処理

    水酸化マグネシウム添加時の目ヤニの改善

    LDPEに水酸化マグネシウムを50%添加した時の写真です。

      

    ステアリン酸・SCI-LOP-F1どちらも表面処理して検証しました。水酸化マグネシウムは添加量が多く、目ヤニの相談が多いフィラーです。分散状態が改善するので、難燃効果も向上するとの評価結果があります。

    ステアリン酸表面処理

    ステアリン酸表面処理

    SCI-LOP-F1表面処理

    SCI-LOP-F1表面処理

    目ヤニ・白黒ブツ改善効果のまとめ

    フィラーの表面を調整し樹脂との親和性を高め、さらに金属表面にも強い滑性を付与する事で、目ヤニや金型内へのフィラーの固着を抑制します。

    流動・分散効果だけでなく、生産中のトラブルも削減する事ができるので、生産中断による原料ロスの削減に貢献します。⾦型や加⼯機内の在留物も減少するので、段替え時のパージ作業や⾦型分解メンテの頻度削減など、コスト・工数削減効果も期待できます。

    まとめ

    流動性の回復を起点とした強化フィラーの分散向上・物性改善について紹介しました。改めて、このSCI-LOPのメリットをまとめます。

    1. フィラー・金属と樹脂の界面を調整し流動性を向上する事で、低トルクでもフィラーを分散させる事ができる
    2. 低トルクで分散させる事で、フィラー形状を損壊せずフィラー本来の物性を発現しやすくする
    3. 吐出が向上しフィラーの更なる増配も可能となるため、製品の薄肉化、樹脂の低比重化、環境負荷の低減も可能となる
    4. 金属面での滑り性により不良を削減し、段替え・メンテナンス工数も削減する事ができる

    ⾃動⾞やモバイル機器などを中⼼に軽量で強度の⾼い樹脂が求められます。流動・分散性の向上により、より軽く強く扱いやすい樹脂にする事ができます。SCI-LOPをぜひご検討ください。

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    電話 03-6273-7712
    メール saj@sunace-corp.com

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